駿台、河合、代ゼミの高卒コースの比較(主に文系東大志望向け)

予備校選びに悩むことは多いと思うし、インターネット上で公開されている記事には、メリットやデメリットを体系的にまとめたものがあまりないです。そこで、それぞれの予備校の長所と短所を項目別にまとめてみます。早速本題に入ります。

比較する項目 特待制度 クラス分け 自習室 設備 科目別の授業の質 模試 チューター(束縛の有無)  合格率

まず駿台から。筆者が所属していたコースは、駿台御茶ノ水3号館限定の東大文系演習コースというコースです。その経験をもとにして話します。

費用は調べればすぐ出るので、基本は省かせてもらいますが、一つだけ注意。後から詳しく言いますが駿台は通期の授業だけでは範囲が終わらず、講習を取らないとすべての範囲が網羅できなくなる可能性があります。そのため、それを考慮すると費用は少し高くなりがちです。

では、特待制度について。現役の時に駿台でそこそこ優秀な成績を取っていると前期の費用は免除されます。それ以外の特待に関してですが、正直かなり渋いです。判定は駿台で受けさせられる必須模試で行うのですが、前期は進研の記述模試、駿台全国判定模試、駿台全国模試、駿台全国マーク模試、後期は駿台ベネッセマーク模試が2回、駿台ベネッセ記述模試、駿台全国模試が対象です。これらの模試の合計点数を競うことになります。お気づきのように、東大などの名前を冠した所謂冠模試が対象になっていない上、マイナーな模試も数多くあります。正直、問題の質はあまりよくないので、マーク模試を除くと特待を狙わない限りは受ける意味はあまりありません。順位としては、全国で総点で上から何位までは15万、そこより下は5万です。(ちなみに演習コースで4位の人でも5万です。)全免は少なくともお茶の水3号館ではありませんし、額としてもかなり渋いです。

クラス分けについて。前期のクラスはプレースメントテストという駿台が作ったセンターレベルの質は低めの問題で行われます。基本的には実力通りのクラスに入れますがが、明らかにLXに入る実力があるのにLYに行く人もいます。(説明し忘れていましたが、駿台の演習コースはLXとLYにわかれています。)ただ、前期の先ほど挙げた必須模試の合計点数によって後期のクラスは決定するので、河合塾のように実力があるのに一年間クラスが変わらないということはありません。

自習室について。通期期間中は基本的にいっぱいになることはなく、ごはんなどで退席していても特に何も言われません。しかし、夏や冬などの直前期は、ブース型の自習室は基本的に10時ころまでには満席になります。筆者としてはそこはかなり不満でした。

 

設備について。3号館はリニューアルしたとはいえエレベーターは古めですが、そこまで困りません。空調の調整はあまりうまいとは言えないので、暑いときは教務に伝えるとよいです。

科目別の授業の質について。

まず英語から。割合は河合塾よりは少ないですが、先生方はかなり良いです。英語が得意でも得るものはあります。

数学は、理系の駿台といわれるだけあって、レベルの高い授業を受けられますし、通期の授業の予習復習と自分での演習をやれば、十分合格点に達せます。

現代文は、普通って感じです、特に良いわけでもないので、授業を切ってる人も割と多かったです。

古文は良い先生もいるはずですが、もし担当が同じなら、演習コースに関しては本当にクオリティが低いです。詳細は書きませんが、後期になると授業に出てたのは15人くらいだったかと思います。

漢文は、三宅先生がとても良い先生で、基本的に授業の予習復習と追加で過去問をやるだけで十分合格点は取れると思います。

世界史は、通期の授業で扱わない範囲があります。欧米近現代史、つまり1870年代以降の欧米史、アジア戦後史、周辺地域史の前近代と近代(例えば東南アジアや朝鮮、パレスチナ問題)などは夏期講習や冬期講習に割り当てられていて、一講座につき2万円ほどかかるので、注意が必要です。また、通期で過去問演習なども行わないので、添削を希望の場合は自分で解いて先生に頼むことになります。

日本史は、知識を入れるのには役立ちますが、論述はかなり微妙です。

地理は選択していないので人づてに聞いただけですが、割と良いみたいです。

このように、駿台は数学はかなり良いが、社会はかなり弱い、ということに注意が必要です。

模試について。東大コースの場合は先ほど挙げた必須模試に加えて夏と秋の東大実戦模試は無料で受けられますし、別の大学の冠模試も一つまでなら無料で受けられます。必須模試はかなり多く、前期はクラス分けに関係があるので受けざるを得ませんが、後期に関してはマーク模試以外受けなくてもよいと思います。そこは自己判断で。(切っても特に文句は言われないです。

チューターについて。束縛はあまりないです。授業を切っていても成績が良ければ特に文句は言われませんし、講習をとれとれといわれることもそんなにないです。チューターとの距離は近いので、相談はしやすいと思います。

合格率について。演習コースのうち上のクラスだと8割5分以上はあるといわれていますが、下のクラスだと3割も合格しないので注意が必要です。(前期は下のクラスでも問題ないですが、後期に下だとかなり努力しなければいけないと思います。)ちなみに、講義コースの場合は一番上のクラスで合格率は4割弱です。

最後に環境について。合格率はおそらく浪人のクラスのなかだと最も高いですし、レベルの高い環境ではありますので、そのような環境を望んでいる方にはおすすめです。(ただし、そのような環境はTwitter上で作れます)

次に、代ゼミについて。TwitterのFFであるあぶしお君から聞いた話をもとに筆者が記事に書きます。かなり詳細に教えてもらいましたので、信憑性は高いと思います。情報を提供してくれたのは、代ゼミの本部校で東大コースに所属していた方です。ですので、代ゼミの他の校舎についてはこの情報が必ずしも当てはまるとは限りませんのでご注意ください。

まず、特待制度について。東大の開示成績がAかBだと年20万、C判定で50万ほどになりますので、ほかの予備校と比べると相当安く、経済的な事情で駿台や河合に通えない方にはお勧めです。さらに、季節講習もその20万さえ払えば無料で受けられるとのこと。おそらく、普通に駿台に通った際にかかる費用の7分の1ほどになると思われます。補足です。本部校以外の場合、開示AやBだと10万円になります。かなりリーズナブルな値段ですね。

クラス分けについて。代ゼミの東大コースはクラスが一つしかなく、人数もかなり少ないです。今年は8人、去年は4人。その代わり、先生たちが生徒の実力やペースを把握できて、授業中にも添削してもらえるほど、待遇が良いです。

自習室について。人数の割に建物が広いので、相当広くスペースを使えますし、駿台のように季節講習期間中は自習室がすぐにいっぱいになるということもありません。一人で席を3つほど使える上、充電ができ、ご飯を食べることもできます。また、長く離席しても問題ない上、赤本の貸し出しもあります。つまりこの辺りに関しては絶対に駿台よりは良い環境です。

 

設備は割愛します。ただ、代ゼミは校舎がかなり広いし駿台よりはおそらく良いはず。

科目別の授業の質について。

英語は、英作文の授業は先生が解説しつつ添削もしてくれます。読解の授業は、東大型の英語のテストを90分で解き、そのあと解説。ほかの予備校と遜色ないレベルだと思います。

それ以外の科目に関しては配られたプリントを解いてその場で見てもらう、あるいは時間を測って演習した後解説講義、というのが基本。少人数なので、周りの目を気にせずに済むし、先生が生徒の弱点を把握した上で教えてくれるので、かなり優秀な授業形態。

社会に関しても、通史の授業がメインとなる駿台とは異なり、演習がメイン(ただし時代順ではある)となります。

デメリットとしては、社会が他の予備校よりは弱いかもしれませんが、浪人して普通に勉強していれば社会の点数は上がるので、あまり問題はないと思います。

英国数の授業レベルはほかの予備校と比べても遜色ないし、数学や古典に関してはほかの予備校より演習量は多いと思います。

先生との距離が近いので、気軽に質問もできます。

チューターについて。かなり緩く、授業を切っていてもプリントをもらえるなど、いい意味で融通が利きます。

 模試については、駿台のマーク模試や駿台の記述模試は無料で受験できます。

人数は少なめですが、去年は4/5人が受かったということです。

最後は河合についてです。(主に本郷校の話になります。) 

ブログ主の友人で、河合本郷に通っていた私(twitter名きのこ)が書かせていただきます。これを読んでもわからないところがあればtwtterのdmにて質問してください。

特待制度について。現役の時に河合模試で基準は不明ですが一定の好成績をとっていると入学時に授業料から一部割引されます。 人によってその割引額は10万だったり35万だったりでまちまちですので、どれくらい引いてくれるかは河合塾のスタッフに聞いてください。

スカラシップ制度については、授業出席率、添削提出率、模試成績などが考慮され、うまくいけば前期の授業料はチャラにできますが、これらが全て超高水準であってもスカラ認定を受けられなかった知人もいたりして不透明感満載です。取れればラッキー、くらいに思っておくのがいいですね。

次はクラス分け。4月初旬と7月初旬に河合塾オリジナルマーク式試験のサクセスクリニックを受験し、それぞれ前期後期のクラスが決定されます。河合塾の必須模試は考慮されませんので注意してください。なのでスカラがいらないならはっきり言って全統記述模試は受ける意味ryって感じですね。あの手この手で受けさせようとしてきますが。東大オープンの成績もクラス分けに関係ないです。僕は文類アドバンスコースに所属していたのでそこでの話なんですが、50人ほどのクラスが3つあって成績順にLM>LU=LZとなっています。参考までに去年の夏の東大オープンの平均点はLMが約240、LUとLZは約210でした。(全国平均は178で、A判定ラインは224、B判定ラインは210)LMについては50人いて平均がA判定ラインを優に超えているので全国的にみてもかなり優秀なクラスですね。

自習室。本郷校は地下一階の専用自習室、空いてる教室の開放自習室、ラウンジが自習室として使えます。基本満杯になることはないです。しかし、授業サボりを防ぐため原則として授業中は自習室が使えないようになっています。実態としてはサボりマンは多数いて開放自習室を使っているのですが、ごくたまーにチューターが見回りに来るのが恐怖です。ある知人は授業切ってラウンジで勉強していたらチューターが説教に来たとか。だから一部は最寄駅のマックで勉強してたりします。

設備について。本郷校は最近できたこともあってものすごく綺麗です。トイレも多いし困ることはないです。椅子も、いすの河合と言われるだけあって(どこで言われてるのか知りませんが)座り心地はいいです。地下の自習室は地下牢とよばれるようにかなり閉鎖的な空間なので時々外に出て空気を吸いましょう。

次、科目別の授業の質。まずクラスによって当たり外れが激しいです。いわゆるトップ講師の授業が受けられるのはLMとLUです。私はLZだったのでトップ講師の授業は隔週の英語アドバンスゼミでのみ受けていましたが、評判通りの実力を感じることができました。LZは正直普通の先生が多く、現代文や英文解釈、理科基礎は優秀な先生でしたが、数学に至ってはよくこれで稼げるなって人もいました。社会はなぜかクラス関係なくランダムで担当講師が決まります。世界史の坂本先生は大局観を重視して授業してくれるので、自然と世界史を大きく捉えることができるようになりました。授業の内容としては全教科とも前期は基礎シリーズ、後期は完成シリーズになっていて前期は1から基礎固めし、後期は東大型の演習を行います。特殊講義として、前期は隔週土曜の英語アドバンスゼミ、後期はそれに加え英語以外の教科でも東大対策のゼミが土曜に行われます。また全教科に添削課題が定期的にあります。英作文と社会は特に添削機会が多いのでどんどん利用した方がいいです。

全体としては、河合は英語と社会に強く、数学に弱いです。

模試は河合塾のものは全て必須ですが、先述の通り必ずしも受ける必要はないです。

 チューターについて。これは人によります。束縛系チューターも放置系チューターもいます。いつも1Fにいるので気軽に相談できます。

合格率は、LMで7割、LULZは4〜5割ほどです。

 

以上です!ここまで長くなりましたが、やはり最も重要なのは「どう予備校を活用するか」ということであって、どこに入れば受かりやすい、ということはありません。ですが、この記事はあなたにとって最高の環境を考えるのに役に立つと思います。ぜひ活用してください。あなたの第一志望校合格を心から願っています。

                      執筆:red,きのこ(内容に関するお問い合わせはtwitter @red_l_ までお願いします。)